自然栽培

固定種とは【やさしく解説】

2020年2月25日

固定種の種

野菜の種に「固定種」っていうのがあるみたいだけど、どんな種なんだろう?

他にはどんな種類の種があるのかな?

 

そんな疑問をやさしく解説します。

この記事の内容

  • 野菜の種には固定種とF1がある
  • 私たちが固定種にこだわる3つの理由
  • 固定種の具体例
  • 固定種を育てる時の注意点
エーイチ

この記事を書いている私は、自然栽培歴9年の専業農家です。

就農当初から種は固定種だけを使い、気に入った種は毎年採種を繰り返し、10年目のいまでは30種以上の自家採種の種を使って野菜を生産しています。

野菜の種には固定種とF1がある

野菜の種は固定種とF1(エフワン)に大きく分けることができます。

固定種とは

固定種とは、農家や採種家の手によって、同じ品種の種を毎年採り繋いできた種のことです。

ミニトマト(ステラ)

例えば「ステラ」という品種のミニトマトがあります。春にステラの種を蒔くと、夏から秋にかけて赤く熟したミニトマトが成ります。その大半は出荷されますが、一部は出荷せずに種を採ります。この採種した種は翌年の春まで保管しておき、春が来たらまた同じように種を蒔きます。すると前年と同じように夏にはステラの実がなります。とてもシンプルな仕組みですね。

このように農家が自身で種を採る作業を「自家採種」といいます。

この自家採種を同じ土地で繰り返すことによって、種はだんだんとその土地の風土に合った種になってきて、年々作りやすく品質の良い野菜になっていきます。

このようにしてその土地の名産になった種のことを「在来種」といいます。在来種はその土地の名前を冠したものが多く、例えば「三浦大根」や「下仁田ネギ」などがそれにあたります。つまり在来種は固定種の一種といえます。

F1とは

F1とは、種苗メーカーによって異なる種類の種を人為的にかけ合わせて作られた第一世代目の種のことで、「交配種」や「雑種第一代」とも呼ばれます。

F1はその代に限り、生育がそろい、安定して一定の収量が得られるため、現代農業者の大半がこのF1を使って野菜を栽培しています。そのためスーパーに並ぶほとんどの野菜はF1の種から作られたモノと考えられます。

ちなみに二代目以降は、一代目とは異なる形質が現れるため、一般的に種採りは行わず、農家は毎年種苗メーカーから種を購入して栽培しています(中には種を採ることができないモノもあります)。このあたりのことをもっと詳しく知りたい方は、固定種業界で有名な「野口種苗研究所の野口勲氏」のこちらの記事をご覧ください。

固定種とF1の違いまとめ

種の種類 固定種 F1
種採り 可能 原則不可
発芽タイミング 一致しない きれいに揃う
生育 バラつく 旺盛で揃う
大きさ バラつく きれいに揃う
多様性 ある ない(画一的)
エーイチ
味については主観的な部分なのであえて触れていませんが、固定種は古くから選抜されて生き残ってきた品種だけあって、私はおいしいモノが多いと感じています。皆さまもぜひご自身の舌で感じてみてください。

私たちが固定種にこだわる3つの理由

農園主
上の表をみると、「えっー、固定種って作るの大変そう!」という声が聞こえて来そうですが、私たちが就農当初から固定種にこだわるのには次のような理由があります。
  1. 自家採種ができるから
  2. 多様性があるから
  3. 個性的でおいしい野菜がたくさんあるから

自家採種ができるから

固定種の最大の利点は自分たちで種を採ることができることだと思います。

毎年同じ土地で種を採り続けていると、自然とその土地に向かない種は淘汰され、その土地固有の気候や病気に強い種が残っていきます。そのため年々栽培が楽になり、野菜の品質も向上します。こうなるまでには経験上、早いモノで2~3年、時間がかかるモノだと5年以上かかりますが、いま収穫している野菜たちをみると挑戦しただけの価値はあったと思っています。

また、毎年種を買わなくて良いので経営的にも助かっています。

多様性があるから

野菜も生命である以上、多様性は重要だと考えます。例えば何らかの病気が発生したときに、画一的な種だと一斉に病気になり、その年の収穫はあきらめなければならないかもしれません。一方、多様性があれば、一部の種はその病気に耐性があり、全滅は避けられる可能性があります。これは農家にとってはとても大きなメリットです。

また発芽や生育がバラつく点についても、自然と収穫時期がズレてくれるので、大量生産大規模出荷農家には向きませんが、私たちのような小規模農家には逆にメリットとして働いてくれています。

エーイチ
もし皆さまが家庭菜園を行う場合も、すべての株が同じタイミングで成長するよりも、少しずつズレて成長してくれた方が長く楽しめて良いのではないでしょうか?

個性的でおいしい野菜がたくさんあるから

近代農業は、流通の効率を重視していますので、例えばキュウリはまっすぐで大きさも均一の方が効率よく梱包して送ることができるため、F1が重宝されます。

一方、固定種といえば、成長は揃わず形も大きさも不均一ですので、流通性は劣りますが、各地で古くから愛され続けてきたおいしい品種がたくさんあります

左から「四葉」、「相模半白」、「夏節成り」

農園主
わたしたちはスーパーでは売られていない、本物の伝統野菜を皆さまに味わってほしいと思い、固定種にこだわり続けています。

固定種の具体例

それではここで、固定種やF1の種がどのように売られているか具体例を見ていきましょう。

固定種の販売にとても力を入れている「つる新種苗」さんの、トマトの種の販売ページを見てみてください。

このページの品種名の上のところに、「タキイ交配」とか、「サカタ交配」と書かれている品種がありますが、それぞれ大手種苗メーカーである「タキイ種苗」さんと「サカタのタネ」さんが開発した交配種(F1)の種です。

少し下にスクロールしていくと、品種名の上に「固定種」と書かれた品種があります。これが何年にも渡り種を採り繋いできた固定種の種です。

エーイチ
つる新種苗さんは固定種の販売にとても力を入れているので、これだけの品数をそろえておられますが、それでも多くのトマトがF1の種であることがわかりますね。

今度ホームセンターに行く機会があったら、ぜひ種の袋を見てみてください。大半の種がF1(交配種)であることに気づくと思います。

ご参考に、固定種の販売に力を入れておられる種苗店を紹介しておきます。

固定種が売られている種苗店

「野口種苗研究所」さんと「たねの森」さんもWEBサイトをお持ちですが、暗号化(SSL)対応されていなかったため意図的にリンクは貼りませんでした。ご興味のある方は自己責任で検索してご覧ください。

固定種の種を育てる時の注意点

最後に固定種の種を育てる時の注意点について簡単に触れておきます。

  1. 発芽のタイミングが揃わないけど気にしない!
  2. 遮光カバーなどは最初の種が発芽したタイミングで外す(でないと徒長します)。
  3. 生育もマイペースですが、それが本来の生命だと割り切る。
エーイチ
精神的なことばかりでスミマセン(^_^;

固定種と付き合うには、こちらもノンビリ構えるのが最善です。固定種は家庭菜園にとても向いていますので、チャンスがあればぜひご自身でも栽培に挑戦してみてください。

あっ、その時はぜひ種採りにも挑戦しましょう。家庭菜園の楽しみがグッと深まりますよ(^^)v

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