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【自然栽培】端境期について

自然栽培の畑

悩む農婦

自然栽培にも端境期ってあるのかな?

もしあるなら、どうやって対処しているのか知りたいな。

 

そんな疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 端境期とは
  • 野菜の収量には波がある
  • 自然栽培と端境期
  • 対処方法
エーイチ
この記事を書いている私は、自然栽培歴9年の専業農家です。

今年で10年目のシーズンになりますが、毎年5月中旬から12月中旬まで、自然栽培で採れた野菜をセットにした「お任せ野菜ボックス」を個人宅配で販売しています。

個人宅配のお客さまには定期配送を行っているため、お届け期間は常に野菜を絶やさないような作付けが必要になります。

そんな出荷を行っている私が、「端境期(はざかいき)」について思うことと、その対処方法について解説します。

端境期とは

ミニトマト(ステラ)

端境期(はざかいき)とは、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、私たち野菜農家にとって言えば、野菜の移行期間で一時的に収穫が少なくなる(あるいは無くなる)時期のことです。

具体的には、春野菜→夏野菜→秋野菜→冬野菜へとシフトする切り替わり目のことです。

中でも一番厳しいのは春野菜から夏野菜へ切り替わる時期で、6月下旬から7月中旬にかけてちょうど梅雨の時期にあたります。

この季節は気温が少しずつ上がってくるため、暑さに弱い春野菜たちは徐々に収穫量が落ちてきます。虫も多く発生してくるため、葉物野菜などは虫にやられるモノも多くなる季節です。

一方でこの時期の夏野菜はどうかというと、梅雨時で雨が多いと日照と気温が夏野菜にとっては不足するため、なかなか大きくなれずに収量が上がって来ません。

一般の栽培(慣行栽培)では、農薬を使って虫を防除したり、肥料を使って一気に野菜を太らせることが可能ですが、「自然栽培」はあくまで個々の野菜が自然のペースでゆっくりと成長するため、「端境期」の影響を受けやすいと言えます。

野菜の収量には波がある

ズッキーニの花

例えばレタスなどの葉物野菜は一回収穫したら終わりですが、ナス、ピーマン、きゅうり、ズッキーニなどの果菜類は、たくさん花を付けて、花を付けた順番に受粉が行われて実が成ります。そのため長期間にわたって収穫が可能ですが、収穫期間中の収量は一定ではありません。

一般的には収穫初期は収量が少ないですが、そこから一気に上昇してガンガンと採れるようになります。特に株が若い内は勢いも強いのでたくさん採れますが、徐々に株も疲れ始め、また気温も下がり始めると収量は落ちていきます。

つまり収穫時期の中心は収量が多いのですが、初めと終わりの時期は収量が少なくなります。このことも「端境期」が出来てしまう要因の一つです。

自然栽培と端境期

自然栽培の農作業

自然栽培では、前述のように作物は自然のペースでゆっくり生長するため、どうしても「端境期」の影響を受けやすくなります。

もう1つの要因は、自然栽培では農薬に頼らずに野菜を育てるため、それぞれの野菜を健康に育てる必要があります。健康に育てるために大切なのは、その作物が育つ適温を守って栽培するということで、旬の時期に栽培をする必要があるということです。

つまり、自然栽培は旬をずらした栽培を行いづらい農法のため、このことも「端境期」が出来てしまう原因となります。

対処方法

防虫ネット

上で述べたとおり、「自然栽培」は端境期が出来やすい農法と言えます

その対処方法はあまり多くありませんが、2つほどご紹介しておきます。

1.防虫ネットで虫の食害を防ぐ

葉物野菜などは気温が上がってくるとどうしても虫の食害に遭いやすくなります。農薬を使わない自然栽培ではこの対策は「防虫ネット」に頼る他ありません。特に気温が上がってくる時期は防虫ネットをしっかりと張って、虫たちから葉物野菜を守って少しでも長く収穫k出来るように心がけましょう。

2.複数の品種を作る

野菜には品種ごとに、早生、中手、晩生などの特性があります。例えば小松菜などでも早蒔き/早収穫の早生特性を持つ品種や、遅蒔き/遅収穫の晩生特性を持つ品種があります。

これらの品種を上手に使い分けて作付けすることによって、1つの作物の収穫期間を長くすることができます。これを春野菜と夏野菜で組み合わせることによって、移行期間を短くして「端境期」を最小化することが可能になります。

まとめ

この記事では、自然栽培は「端境期」が出来やすい農法であることと、その端境期を最小化するための対処方法を2つ解説しました。

夏野菜→秋野菜や、秋野菜→冬野菜への移行期間については触れませんでしたが、実はこの時期は貯蔵が可能な野菜があるため、あまり端境期の影響を受けずに済みます。例えば、カボチャ、ジャガイモ、さつまいも、冬瓜などです。

春野菜→夏野菜の移行期間においても、地域によってはタマネギ、ニンニクなどの貯蔵系野菜が用意できれば、その影響は更に小さくできます。

ここで解説した方法を上手に組み合わせれば、長期間にわたって安定的な野菜の出荷が可能になりますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

ナチュラルハートは皆さまに本物の野菜をお届けします!

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