農薬を使わない「自然栽培」では、防虫はどうやってるのか知りたいな。
そんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 自然栽培の虫に対する考え方
- 自然栽培での防虫手段
- 土が育つと虫が減る
- まとめ
この記事では「自然栽培農家が虫をどう見ているのか」と、私たちの防虫手段についてこれまでの経験を元に解説します。
自然栽培の虫に対する考え方
虫と言ってもいろいろな虫がいます。一般的に農業では、作物に悪影響を与える虫を「害虫」、好影響を与える虫を「益虫」と呼んだりします。これは単に人間の(栽培者から見た)視点です。
その視点で見ると、「害虫」は主に作物を食害する虫で、「益虫」は害虫を捕食してくれたり受粉をサポートしてくれたりする虫のことです。
自然栽培に関わらず「防虫」といえば、この「害虫」から作物を守ることで、害虫対策のことです。
自然栽培では、「害虫は本来存在してはいけない【不自然な】野菜に付いて、それらを食べて土に戻すために来る」とよく言われます。
これは自然栽培に限らず、自然農法の世界でも同様です。
つまり病気で弱っていたり、窒素(肥料)過多であったりする野菜は不自然な状態にあるため、害虫が寄ってきてそれらを食べて、糞や自らが死骸となって土に返すという意味です。
初めてこの話を聞いたときは、とても信じがたい気持ちでしたが、自然栽培と9年間向き合っていくうちに、そんなこともあり得るかと思えるようになってきました。確かに弱っている野菜に虫が付き、元気な野菜はほとんど虫に食べられることなく収穫されます。
この辺りのことを、もう少し深掘りしてみたいと思います。
自然栽培での防虫手段
自然栽培を始めたばかりの頃は、まだ土が出来ていないため、よく虫が寄ってきます。
その時期を乗り切るための、自然栽培の防虫手段を3つ紹介します。
- 手で虫を取る
- 防虫ネットを使う
- 天敵(益虫)を増やす
手で虫を取る
説明するまでもありませんが、虫を発見したら手で取り除く方法です。
1つ1つの作物を見て回って、手で取るのですからとても手間暇がかかり、規模が大きくなると難しくなります。
防虫ネットを使う
防虫ネットは虫が入れないような小さな編み目で出来ていて、これを作物にトンネル状にしてかけて使います。
この効果は大きく、収穫まできれいな状態で育てることができます。デメリットはコストがかかることと、ネットを設置するための手間がかかることです。それでも作物をきれいな状態で採るためには、重要な資材と言えます。
天敵(益虫)を増やす
「害虫」に対する天敵となる「益虫」を増やすのですが、基本的には自然発生してくれるのを待つしかありません。
ただ、そのためには「益虫」の住みかが必要ですので、畝間の通路や土手部分に草をしっかりと生やして、「益虫」が繁殖する環境を準備しておく必要があります。
これについては参考記事を張っておきますので、ぜひお読みください。
土が育つと虫が減る
長い間、畑に草を生やしながら土を育てていくと、ある時ふと「野菜が虫に食べられなくなったな」と思える時期が来ます。
私たちの農園では自然栽培を始めて6年目頃にその時期を迎えました。
その頃の畑は、様々な科の草が生えていいて、畑の中には多種多様な昆虫や土中生物がいます。
こうなった時、自然栽培では「土が出来た」と言い、作物たちは肥料がなくても元気に成長するようになります。
この状態になると、野菜たちがとても健康で元気に育っているため、害虫がほとんど寄ってこなくなります。畑の中を見渡すと害虫はいるのですが、作物にはあまり付かずに、土手草に付いてたりしています。また当然天敵の虫もいるため、害虫だけが大量に発生出来ない環境が作られています。
それでも品質確保のために防虫ネットを利用することもありますが、土が出来たあとの害虫対策はとても楽ですので、自然栽培を始めた人たちはまずこの状態を目指すことをおすすめします。
まとめ
自然栽培農家は、「作物を害虫が捕食するのは、その野菜が不健全だから」と考えていることを説明しました。
また、自然栽培を始めたばかりの頃の害虫対策の方法を3つ紹介しました。
更に、土が完成してくると、虫がほとんど作物に付かなくなることにも触れました。
農薬を使わない自然栽培では、多くの時間を雑草対策と害虫対策に使うことになります。しかし土が完成に近づくにつれてその手間はどんどん小さくなります。そこまでの道のりは決して楽ではありませんが、本物の野菜を作るために挑戦してみてはいかがでしょうか。
ナチュラルハートは皆さまに本物の野菜をお届けします!