育苗はどうしてする必要があるのかな?
また「自然栽培」の育苗ってどうやるんだろう。
そんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 育苗を行う意味
- 育苗のやり方
- 育苗のテクニック
- まとめ
今日2ヶ月間手塩にかけて育苗したトマトの苗を畑に定植しました\(^o^)/
農業の世界には「苗半作」という言葉があり、苗の出来が作物の出来の半分を決めると言われています。
これまでの私の経験をベースに、苗を元気に育てる方法を解説します。
育苗を行う意味
育苗とは、畑に直接種をまくのではなく、育苗ハウスのような環境で、ポリポットやセルトレイに種を蒔いてある程度大きくなるまで育てることです。
ではなぜそんな面倒なことをするかというと、大きく分けて2つの理由があります。
理由1:気温の上昇を待つ
写真は温床と呼ばれるものです。温床では下に敷きつめられた落ち葉などの有機物を微生物が分解するときに出る熱を利用して、中に入れた野菜の苗たちを温めています。
このような温床は「踏み込み温床」などと呼ばれますが、この他にも電熱マットを利用した温床などもあります。
トマトやナスなどの夏野菜たちは寒さに弱いため、まだ外気温が低い時期はこうして、育苗ハウスの中で更に温床の上でぬくぬくと育てて、外気温が適温になるのを待ちます。
理由2:発芽の効率を良くする
種の発芽率は100%ではありません。
特に私たちが使っている「固定種」は発芽が揃わないので、直接畑に種を蒔くと発芽しない部分が歯抜け状態になります。
これを解決するには、一カ所に複数粒の種をまくやり方もありますが、種がたくさん必要でこれも効率的ではありません。
そこで、まずポリポットやセルトレイで種をまいて発芽したモノを畑に植えれば、効率よく野菜を育てることが出来ます。
育苗のやり方
種まき
ポリポットやセルトレイに土を入れて、1つずつ種をまきます。
この時に使う土のことを「育苗土」といいます。育苗土については別記事「自然栽培成功の秘訣【①育苗土】」を参照してください。
水やり
種は土が乾いた状態だと発芽しないので、土が乾きすぎないように状況をみて水やりをします。
また、発芽した後も小さな芽が乾燥して枯れてしまわないように水やりが必要です。
特に晴れた日の育苗ハウスの中は高温になってすぐに土が乾くので気をつけておかないと、せっかく育てた苗が全滅などということも起こり得ます。
温度管理
育苗ハウスには、温度を管理するための開閉機構が付いています。
これを利用して日中温度が上がりすぎたら開いて温度を下げ、夜間は温度が下がりすぎないように閉じて保温します。
特に3月頃の育苗期間中は、外気温が氷点下になることもあるため、野菜たちが寒さで死んでしまわないように細心の注意が必要です。例えば私たちはトンネルアーチの下に苗を入れて、その上からビニールや毛布を掛けて保温しています。
鉢上げ
鉢上げとは、最初にまいたトレイでは生長に支障を来すようになった時に、より大きなトレイやポットに苗を植え替える作業です。
育苗ハウスの中で比較的長く育てるトマトやナスなどの夏野菜は、鉢上げして根がトレイの中でぎゅうぎゅうに詰まらないようにして、更なる生長を促します。
育苗のテクニック
最後に育苗のテクニックを2つ解説します。
①時期ずらし
レタスのように一回で採りきる野菜は、まく時期をずらすことによって長期間収穫することができます。
ここで気をつけなければならないのは、後半になって温度が上がってくるほど生長が早くなるということです。
つまり、ずっと等間隔で10日おきに種をまいたとしても、後半は生長が早いので先にまいたモノに苗の生長が追いついてしまいます。
ポイント
コツは、「温度が上がってくる時期は、遅くなるほどまく間隔を長くする」です。
②定植前は外気温にならす
いよいよ畑に苗を植える定植まであと一歩という時期になったら、今度は少しずつ苗を外気温にならしておく必要があります。
そうしないで、ずっとぬくぬくと育った苗が、春とはいえいきなり夜の冷気にあたるとストレスとなり、病気になってしまう可能性があります。
そこで定植の5日ほど前から、少しずつ育苗ハウスを開けている時間を長くするなど、苗を外気温にならしてあげてください。
まとめ
この記事では、自然栽培における育苗の方法をざっくりと説明しました。
読んでわかるとおり、育苗はその後の生育を決める大事な作業であり、とてもデリケートで臨機応変な対応が求められます。
失敗してから「あの時やっておけば良かった」と思っても、次の挑戦は一年後になるかもしれないので、慣れるまでは何度も苗の状態をチェックして、異変を感じたらすぐに対応できるようにしておきましょう。
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