肥料も農薬も使わない「自然栽培」という農法に興味があるけど、やるのは難しいのかな?
どんな点が難しいのか知りたいな。
そんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- 自然栽培は難しい
- 自然栽培が難しい4つの理由
- それでも自然栽培を続ける理由
- まとめ
私が自然栽培一本で農業をしていると話すと、よく「自然栽培って難しいんでしょ」と聞かれます。
この記事では、そんな質問にお答えしてみたいと思います。
自然栽培は難しい
自然栽培がどんなモノかについては、過去の記事「自然栽培とは」をお読みください。
正直に言って、自然栽培は難しいです。
なぜなら正解がなければマニュアルもない状態から、様々な問題に手探りで対処しなければならないからです。
以前、別記事「自然栽培の学び方5選」の中で、
「自然栽培」は自然を理解しようとする壮大な試みです。
と書きましたが、正にそんな雲をつかむような話です。
だからこそ、やり甲斐もあって面白いのですが 🙂
自然栽培が難しい4つの理由
私の経験を元に、これから自然栽培をやってみようとする方がつまずきそうな点を4つ挙げてみます。
1.情報が少ない
有機農業の耕作地面積は全体の0.2%なのだそうです。ただここには、有機認証を得ていない農業者はカウントされていないでしょうから、もう少し多く見積もっても1%未満だろうと想像できます。
自然栽培においては統計が無いので詳細は不明ですが、肌感覚で言えば有機農業の更に1%とかではないでしょうか。
数字はともかくとして、ほとんど実践者がいない「自然栽培」では、他の農業に比べて農業技術などの情報が非常に少ないです。
つまり、体系立てて教えてくれる書籍や機関がほとんどない中で、「自然栽培」の実践者は自らの畑で試行錯誤しながら自分のやり方を確立していくしかありません。
そのためには、自然に対する様々な理解や思慮が必要であり、これが難しいと考える1つの理由です。
2.生育が遅い
肥料を与えられていない作物たちは、自らの根を地中深くまで伸ばして、そこにある養分を吸収しようとします。
そのため根はぐんぐんと伸びているのですが、地上部分を見るととても生育が遅いです。
生育が遅いということは、収穫までの時間がかかるということであって、それは次のようなデメリットになります。
- 虫に食べられる確率が上がる
- 病気になる確率が上がる
- 豪雨や台風などの自然災害に遭う確率が上がる
- 畑を効率的に使えない(回転が悪い)
これらのデメリットも「自然栽培」が難しいとされる理由です。
3.虫や病気が発生しても自然に任せるしかない
自然栽培では農薬も一切使いません。
そのため、虫や病気に対する予防は「防虫ネット」や「バンカープランツ」などを利用することによって可能ですが、実際に虫にやられたり病気になってしまった場合は、作物自身の抵抗力や、天敵の出現など、自然に頼るしか方法はありません。
大きくて目に見える虫の場合は、手で1つずつ取るという対処方法もありますが・・・
4.知名度が低い
「自然栽培」と聞いてすぐに理解できるのはよほど野菜に詳しい方で、一般的な知名度はあまりありません。
従ってここで述べたデメリットをかいくぐり、手間暇をかけて生産した農産物でも、その価値を理解してくれる方は多くないということです。
そうなると一般的な野菜と価格も大きく違わなくなってしまうため、売り方にも工夫が必要になります。
それでも自然栽培を続ける理由
それでも私たちが「自然栽培」を続ける理由は何かと聞かれれば、
今私たちが考え得る農法の中で、もっとも安全でおいしい野菜を作れると思うからです。
とにかく、最高の野菜、本物の野菜を作りたい!!
そのためには、「自然栽培」が最善であると確信しているからです。
また、肥料や農薬を使わない農法は、地球環境に負荷をかけないという意味でも最善であると考えています。
では、さきほど述べた4つのデメリットに対する私たちの考えも述べたいと思います。
デメリット1.情報が少ない
対処法:自然栽培では固定概念に囚われることがもっとも危険です。その意味では実はあまり外部からの情報はいりません。答えは作物が教えてくれます。私たち農家は作物や環境が教えてくれる情報をキャッチして対処する能力を磨けば良いのです。
デメリット2.生育が遅い
対処法:生育が遅いと、出来る野菜は肥料で一気に太らせた野菜に比べて綿密でしっかりした味になります。確かに畑に入っている期間が長ければ、いろいろな問題に遭う確率も上がりますが、それらをくぐり抜けた野菜たちはとても健康なおいしい野菜になります。これは見方を変えデメリットをメリットととらえることで対処可能となります。
デメリット3.虫や病気が発生しても自然に任せるしかない
対処法:自然栽培では虫や病気は不健全な野菜に来ると考えています。つまり野菜を健康に育てれば、虫にも食べられず病気にもなりません。そのことは私たちが自然栽培を9年続けた中で強く実感しています。土が完成され環境が整った頃から、本当にきれいで元気な野菜が取れるようになりました。この問題は、土を育てつつ、農業技術を磨いていくことで解決できます。
デメリット4.知名度が低い
対処法:これについては、自然栽培を求めている方が一定数いるのは間違いないので、まずはその方たちに食べてもらって納得して頂くことが大切です。更に私はSNSなどを活用して少しでも多くの方に知って頂き、食べて頂く努力を続けています。確かに知名度が低いので、その分買って頂く努力や工夫はこれからもずっと続けていく必要があると考えています。
まとめ
以上のとおり、「自然栽培」は非常に難しい農法ですが、時間をかけて環境と技術を磨いていくことによって解決可能です。
そしてそれらを解決した後に得られるのは、本当に安心して食べられるおいしい作物たちです。
私たちも長い時間がかかりましたが、目指した価値はあったと思っています。そしてまだまだ奥が深い「自然栽培」をこれからも楽しみながら続けて行こうと思っています。
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