これからの季節、気温が上がって雨も多くなるから、畑の草管理が大変!
「自然栽培」では、草をあまり抜かないと聞いたけど、それでうまく野菜が育つのかな?
草と上手に付き合う方法があれば知りたいな。
そんな悩みにお答えします。
今回は記事が長くなったので、この記事(1/2)では草の効果だけにします。残りは記事(2/2)をお読みください。
この記事の内容
- 草の効果はたくさんある(今回の記事はここまでです)
草との付き合い方(草の管理方法)草は作物の成長のじゃまにならない?草を生やす上での注意点まとめ

これからの季節、畑の草管理は本当に大変ですよね。抜いても抜いても出てくるのでキリがありません。でも、その草は本当に抜いた方がいいのでしょうか?
農家になって以来、ずっと草と付き合ってきた私が、その経験をベースにお話しします。
草の効果はたくさんある
実は畑に草が生えているメリットはたくさんあります。見た目だけを重要視して、草を根こそぎ抜くのはとても勿体ないし、むしろデメリットもたくさんあります。
まずは草を生やす効果を見ていきましょう。
草の効果
- 土の乾燥を防ぐ(保湿効果)
- 雨が直接地面をたたくのを防ぐ
- 土中微生物に住みかを提供する
- 益虫(天敵)に住みかを提供する
- 根が土をフカフカにする
- 土の深いところの養分を地表に吸い上げる
代表的な効果はこんなところです。では1つずつ詳しく見ていきましょう。
土の乾燥を防ぐ(保湿効果)
草は土に日陰を作り、直射日光が当たるのを防ぐため、土が乾燥するのを防ぎます。
草をきれいに刈っている畑では、土が砂漠のような状態です。少し強い風が吹くと、土埃が立つような畑では、野菜を植えても常に乾燥しているので、頻繁に水やりをしないと作物が枯れてしまいます。結果、手間ばかりかかってしまいますので、勿体ないですね。せっかく生えてくる草を有効活用したらいいのになと思います。
雨が直接地面をたたくのを防ぐ
「雨降って地固まる」ということわざがあるとおり、雨が地面をたたくと、フカフカだった畑の土も固まってしまいます。
畑の土が固まると、
- 土中に空気が通りづらくなる
- 水が染みこみづらくなる
- 発芽しづらくなる
- 根が張りづらくなる
など、良いことはありません。
畑に草が生えていれば、草がクッションとなって雨が直接地面をたたくのを防いでくれますし、大雨で土が流れるのを防いでくれる効果もあります。
土中微生物に住みかを提供する
自然栽培の畑では、肥料も農薬も使わないので、土中には微生物がたくさんいます。
この土中微生物や、ミミズなどの小さな生き物が活躍することによって、畑の中の様々な有機物を分解して野菜が元気に育つ土に変えてくれます。
草はそんな生物たちに日陰を提供したり、根から栄養を提供したりして住処を提供してくれるお陰で、畑の中に循環が生まれて、畑の土が肥えるのを間接的に支えてくれています。
益虫(天敵)に住みかを提供する
畑の作物が「害虫」によって食い荒らされたりした経験があるかもしれません。一般的な慣行農業では、その被害を防ぐために「農薬」を使って害虫を殺します。または「消毒」という名の元に、害虫がつかないように予め「農薬」を作物に散布します。
自然栽培では「農薬」を一切使わないので、「害虫」の天敵となる「益虫」の働きに期待します。
例えば、「アブラムシを食べてくれるテントウムシ」や「ハエを食べてくれるクモ」などがそれです。
しかし畑に草がなければ彼らも生存できません。結果、畑の作物を害虫に食べ尽くされることが起きます。自然界のバランスを壊してしまっている良い例といえるのではないでしょうか。
根が土をフカフカにする
草の根は地中に入り込んで行くため、硬くなった土を耕す効果があります。またその草が枯れると根も枯れてしまいますが、根があった場所は空洞になり、地中に雨や空気を送り込む道となってくれます。
草の根は自然の耕運機の役割をはたしてくれているのです。
土の深いところの養分を地表に吸い上げる
草はそれ自身が生きていくために地中に根を張り、そこから養分を吸い上げて根や茎、葉などを成長させます。そしてその草が死ぬと、その茎や葉がまた分解されて土に戻ります。
つまり草は地中の深いところにある養分を地表に吸い上げてくれていると考えることができます。
このお陰で、畑で栽培されている作物は、地表近くにある養分を根から吸収して成長することが出来るのです。
よく「草が養分を奪うから抜かないと作物が生長しない」という方がいますが、視点を少し変えると草にはこのような効果があることも覚えておいてくと良いと思います。
文章が長くなったため、今回の記事(1/2)はここまでとします。
残りの項目はこちらの記事(2/2)でお読みください。