自然栽培 農業技術

自然栽培成功の秘訣【①育苗土】

2020年5月8日

育苗中のきゅうり

悩む農夫

「自然栽培」をやってみたいのだけど、「育苗土」はどうすればいいのかな?

市販のモノはみんな化学肥料が入っているので使えないし・・・

自然栽培の農家はどうしているのだろう?

 

今回は、そんな「自然栽培」を始める多くの人がひっかかる疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 育苗土とは
  • 新規就農時に使っていた育苗土
  • 木村秋則さんが稲作用に考案した育苗土
  • 試行錯誤の末にたどり着いた育苗土
  • 畑の土は育苗土に使えない?
  • まとめ
エーイチ
この記事を書いている私は、自然栽培歴9年の専業農家です。

育苗土の問題は、自然栽培を始めた人のほとんどがぶつかる壁で、皆さんとても苦労しています。

この記事では、私が試行錯誤の末にたどり着いた育苗土をお教えします。

育苗土とは

「育苗土」とは、畑ではなく、ビニールハウスの中などで苗を育てる(つまり育苗する)時に利用する土のことです。

なぜ畑に直接種を蒔かないのかというと、理由はいくつかありますが、1つはまだ寒い時期に寒さに弱い夏野菜をビニールハウスの中で育てることによって、寒さや霜にあたって野菜が死んでしまうのを避けるためです。

ビニールハウス内で育苗された夏野菜の苗は、霜が降りる心配がなくなる時期に畑に移植されます。このことを定植といいます。

ところで農業の世界には、「苗半作」という言葉があり、「苗の出来でその作物の出来の半分が決まる」と言われていて、農家は育苗にとても気を使っています。だから「育苗土」もとても大切なんです 🙂

新規就農時に使っていた育苗土

新規就農時の育苗土

新規就農時は育苗土のことでとても悩みました。なぜなら「自然栽培」は肥料も農薬も使わないので、市販の育苗土はみんな「化学肥料」が入っていて使えません。

ならば自作しようということで、「山の土をふるいにかけ(写真)たもの」に、「市販の腐葉土」や「赤玉土の小サイズ」をミックスして使いました。「山の土」にはその土地にずっといる菌が含まれるため、近くの畑で野菜を育てるのにも効果があるのではないか?と考えたからです。

結果は今から思うとダメでしたね。特に赤玉土は水を何回もあげていると固まってしまい、水はけが悪くなり、苗の生育にも悪影響が出ました。

また、土のパワーが足りないというか、苗を畑に移植する前に生育が止まったり、枯れてしまうものがあり、「良い苗」にはほど遠い状況でした。

木村秋則さんが稲作用に考案した育苗土

木村式育苗土

自然栽培の創始者である「木村秋則」さんが考案した米苗用の育苗土というのがあります。

簡単に説明すると、「田んぼの土+米ぬか+くん炭」を「2:2:1」の割合でサンドイッチ状に3層ほど重ね、上から穴を開けて水を入れ、自然発酵させて作る育苗土です。

これを畑に応用できないかと考え、田んぼの土を畑の土に変えて育苗に使ってみた時期もあります。

こちらは結果をいえば、まずまず使えました。苗の生長も悪くなく、土としてのパワーもある感じです。

問題点は、発酵を進めるために何度も切り返しを行うのですが、土がダマになってムラが出来、その結果苗の生育にバラツキが出てしまいました。

また、作るのに時間と労力が大きいので少量であればいいのですが、育苗土がたくさん必要になるとユンボなどの機械でも使わなければ難しいと思います。

試行錯誤の末にたどり着いた育苗土

そしていろいろ試した末にたどり着いた育苗土がこちらです^^;

現在の育苗土

なんだか分からないと思いますが・・・

刈った草や、野菜の残渣を2年ほど積んでおいたモノで、自然の力で立派な土になっています。

これは山の土と同じ原理で、草などの有機物を積んでおくと、その土地の土着菌の働きと雨風の風化作用によって有機物が分解され、作物を育てるのに十分なパワーを持つ素晴らしい土になります。

土の上の方はまだ分解途中の有機物が多いのですが、スコップで中を掘ってみると黒々としたとても良い土になっています。

この山には時々カブトムシが卵を産み付けるので、その幼虫がまた良い仕事をして分解の手助けをしてくれることもあります。

この土を使って育苗をすると本当に良い苗が出来、パワーも十分で定植まで元気に成長してくれます。(くん炭を少々混ぜると、水はけもよくなるのでお勧めです)

なすの苗

難点は写真のように少し雑草が出ることです。これも自然では当たり前のことなので気になりませんが、苗の生長に影響があると思えば抜くこともあります。また、ハーブのような種が小さいモノについては、雑草の方が大きかったりして少々めんどうです。あまりハーブとかの育苗には向いていない気がしますが、トマト、ナス、ピーマン等の夏野菜には最高の育苗土です。

畑の土は育苗土に使えない?

耕運

「畑の土をそのまま育苗土に使えないの?」という疑問が出ると思います。私も実際やってことがありますが、やはり何度も水やりをすると土が固まってしまって水はけが悪くなるので、あまり上手く行きませんでした。

くん炭などを混ぜれば水はけは改善されますが、その分土のパワーが落ちる感じです。また雑草が生えてくる問題は、先ほどの残渣を積んでおいた土より多い印象ですので、あまりお勧めとは言えません。

まとめ

今回は、立派な苗を育てるのにとても大切な「育苗土」について、私の経験からたどり着いた答えを説明しました。

結論としては、「刈草や野菜の残渣」などを2年ほど積んで土にしたモノが最高の育苗土ということですが、これができあがるにはやはり時間がかかりますので、最初の1~2年目は「木村さんが考案した育苗土」などに頼るのもアリだと思います。

ただし、自然栽培を志す以上、必ず超えなければならない壁でもありますので、少しでも参考になればと思い、私の経験を語ってみました。

それぞれの畑や、作っている作物によっても違ってくると思いますので、ぜひ常識にとらわれることなく、自分で試行錯誤して立派な苗作りを目指してください。

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